自分だけはならないと思うことは間違いだと知った認知症

80歳で経営していた会社を引退した叔母が、88歳になって、少しずつ認知症のような症状が出てきています。子どもがいなかった叔母は、誰にも迷惑をかけたくないと、60代のうちにケアハウスに入っていました。

それでも、体はぴんぴん、とても頭のよい人で、ついこの前まで、周囲のためにあれこれと世話を焼いたり、お金を支援してあげたりしてました。会社引退後もお友達と国内、海外と旅行にも行って、よくお土産も買ってきてくれていました。

4、5年前から、周囲のお友達が亡くなってしまったり、病気になってしまったりと、旅行に行くことがなくなりました。今思えば、そのころから、少しずつ言うことがおかしいことが増えてきていたように思います。

ケアハウスの入居者や職員に対する不平不満や悪口のようなことを言い始めました。
それまで、人の事を悪く言ったり、愚痴のようなことを話すことをあまり聞いたことがなかったので、よっぽどなのかなぁと軽く考えていました。

自分でも、そんな話をしながらも、「こんなこと言っちゃだめね」などと、自分を諫めるようなことを言って笑っていました。それが、最近、ケアハウスの方から、「認知症の疑いがあります。検査をして、介護認定を受けてほしい」との連絡がありました。

電話で話している限りは、それほどおかしいと感じたこともなかったので、大げさな話をしているものと気軽にとらえて、ケアハウスに話を聞きに行きました。一番問題になっているのは、「自分の部屋に誰かが入ってきている」「置いていたものを誰かが持って行ってしまった」「自分のものではないものが勝手に部屋に置かれている」などという、トラブルでした。

叔母の中では、特定の人物を差して言っているようで、職員の方たちも手を焼いているようでした。介護付きケアハウスではないため、認知症と診断されれば、施設は出なければいけません。とりあえず、検査を受けましたが、一緒に付き添っている間も、ずっと、

「老人になると、誰も信じてくれなくなる。もう嫌だ」

と自分のことをだれも信じてくれないことを憤慨していました。施設の人の話、叔母の話を冷静に聞いてみても、一緒に行動しているときの会話や行動を見ていても、おそらく、施設の人が感じている印象のほうが、正しいのかなと思いました。

簡単な検査では、脳の萎縮も起っておらず、年齢相応の状態であると言われて一安心はしましたが、もう少し詳しい検査を勧められました。お医者さんにとっても、叔母の話や行動は少し異常があるようにみえたようでした。

ずっと、人のために頑張ってきた叔母の言動が少しずつ壊れていく姿は、とても寂しく、悲しいです。そして、自分にも必ず訪れる老いに対して、しっかりと準備と覚悟を持つことを、身をもって教えてくれていると感じています。